::: エロゲーの殿堂 ::: |
|
|||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
|
◆ 舞台 ◆ |
主人公「桜井舞人」は私立「桜坂学園」に通う2年生。普段は友人達と明るく振る舞っているが、恋愛については一歩引いたスタンス。幼き頃の記憶が微かに残る桜坂市へ戻って一年。ようやく新たな恋へと踏み出して行く。 ゲーム内の期間は4月7日(日)から始まる約一年間。スタート直後はほぼ毎日消化していくが、中盤以降は月に7〜10日。終盤に入るとほぼ月イチ進行となる。移動場所は、学園〜自宅を中心に展開。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は7人。内訳は同級生3、上級生1、中学生1の計5名がメインヒロインとなり、サブヒロインとして上級生と中学生が各1名ずつ。 Hシーンは全て和姦。回数は女性1人に付き1〜3回。シーンの尺は程々で、1シーンで2ラウンドをこなす場合もある。本編と同様かなり明るいノリであり、Hシーンに突入して主人公のキャラが豹変する様な事はない。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、過去ログ(音声履歴有り)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能。セーブスロットは全18箇所で、それ以上は使い勝手の悪い拡張セーブで補っている。クイックセーブ・ロードも可。テキストはマウスホイール対応で、画面効果の調整も出来る。ディスクレス起動は原則不可で、プレイの日にちが空くとディスクを要求される。シーン回想はサムネイル付で、回想途中でも選択画面に戻れる。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディングは7種類。メイン・サブ計7人の女性に1つのエンドが用意されている。ストーリーは大きく3部に分けられ、序盤と中盤、中盤と終盤の間にそれぞれテーマソングが流れる仕様。序盤(4〜6月)は女性陣の顔見せ、中盤(7〜12月)に告白から恋人状態を経て終盤(1〜3月)を迎える。5人のメインヒロインのシナリオは、基本的な流れが全く同じであり、個別ルートに入ってからも共通部分は多い。 期間が1年となるため、体育祭や文化祭、修学旅行といった定番イベントも簡素ながら消化して行く。一方でストーリーの構成上から、クリスマスとバレンタインのカップル鉄板イベントは無し。 ストーリー序盤から、エキセントリックな主人公のハイテンションギャグ・オンパレード。しかし万人受けする笑いであるとも言い切れず、このセンスが受け付けられない人は10分と待たずに挫折する可能性もある。笑いをこのゲームに求めるプレイヤーは、その点に注意が必要。 |
◆ 総評 ◆ |
【お蔵入りの続編】 本作のシナリオは、初めから続編を想定して構成されており、そのため本編中でも幾つか消化不良の部分を残している。続編タイトルは『けれど輝く夜空のような』というもので、舞台は本作から8年後の設定。主人公は本編に登場した少年「佐伯和人」。この和人のストーリーまでをもって真の完結を迎える予定だったためか、本編には不必要と思えるほど多くのチビッコキャラが登場している。 『けれど輝く夜空のような』は「それ散る」と同時進行で製作していたため、ある程度は出来上がっているという話もある。しかし本作の製作に係わった主要スタッフは、既に他メーカーへ移籍しているため、続編が発売されるとしても同レベルのクオリティを期待するのは厳しいか。 【リメイク】 本作は2002年6月(DVD版は8月)にリリースされた『それは舞い散る桜のように』のリメイク。システム周りの修正や新規の演出効果、そしてシナリオやCG、音声の追加等が行われた。 注目はやはり追加ストーリーで、本作では新たに2名の女性が攻略可能となった。また、旧作で残されたままだった謎の部分を補完するエピソードも織り込まれている。だがメインシナリオを担当していた王雀孫氏の不在の影響は大きく、特に主人公の奇天烈な言動だけはどうしても似せるのが難しいため、ストーリーの追加部分が完全に浮いてしまっている。とは言え、その点は誰よりも製作者自身が分かっていたようで、登場人物の口を借りて苦しい胸の内を語らせているのが何とも痛々しい。
「完全版」と銘打って蘇った本作だが、ファン待望の「けれ夜」が収録されたわけではないので要注意。上記の様に追加部分はいささか苦しい出来となってしまったが、コメディで始まりシリアスで終わる王道展開の本編部分は十分に傑作と評価できる内容。 |
初稿:2009.12.01 |
それは舞い散
|