::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 舞台 ◆ |
人形遣いである主人公「国崎往人」は、各地を周りながら人形劇を披露する事で生計を立てている。しかし資金が底を尽いたため、やむなく田舎町で逗留する事に。商売道具である人形も紛失して途方に暮れていた所へ一人の少女が声をかけてきた。 ゲーム内の期間は、7月17日(月)から最長で8月14日(月)までとなるが、その他に過去編等もある。移動場所は居候先を中心として、神社や駅舎、診療所など。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は4人。内訳は女子高生3名と女官1名。奇怪な口癖が特徴のメインヒロインを始めとして、女子高生は全員天然。 Hシーンは全て和姦。回数は女性1人に付き1回。野外でのシチュエーションが1シーンあるものの、全体的に内容は極めてソフト。フィニッシュシーンまで描かれているのは女官のみで、各Hシーンはかなり短めの仕上がり。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、過去ログ、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット100)。画面効果の調整やDISCレス起動、直前の選択肢に戻ることも出来るが、回想はCGのみでシーンは無し。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディングは5種類。基本は女性1人に付き1つのエンドとなり、その他にスタッフロールの流れないバッドエンドも用意されている。ストーリーは大きく3編に分かれており、最初は3人のヒロインの個別エピソードが中心となる「DREAM」。ここで3人のエンドに到達すると、現代に繋がる過去の出来事を描いた「SUMMER」、続いて本作の真の物語とも言える「AIR」へと入れるようになる。各編を終える毎に、タイトル画が変化して行く演出。 本作を深く理解し、ストーリーをじっくり味わいたいのであれば、「DREAM」は佳乃→美凪→観鈴の順での攻略を推奨。 本作は2000年9月にリリースされた『AIR』の廉価版。ただしシステム周りの改善や、コンシューマ移植時に追加されたCGを取り入れるなど簡易リニューアルとも言える内容だが、音声追加は無し。 |
◆ 総評 ◆ |
【The
1000th summer】 3人の女性が各々抱えている奇妙な難題の提起から始まり、やがては主人公自身も巻き込みながら様々な謎が解き明かされて行くストーリー構成。ただし明確な答えが示されるわけではなく、ある程度の道筋を提示した上で、最終的な解釈はプレイヤー各人の推測に委ねられている。 約1000年もの間繰り返されて来た悲劇は、ミレニアムサマーに至って遂に終わらせることに成功し、主人公とヒロインは望みうる中で最高の結末を迎えた、と信じたい所。 【AIRはどこまでも続いてゆく】 2000年の原典『AIR』発売から約1年後の2001年7月には「全年齢版」がリリースされ、同年9月にコンシューマへと移植された。まずは「DC版」から始まり、翌年には「PS2版」、2007年11月には「PSP版」がリリースされた。18禁部分がカットされた点を除き、基本ストーリーにほぼ変更は無く、CGと音声の追加が行われている。 映像作品としては2005年1月より「TVアニメ版」が放映された。地上波ではなくBSでの放映だったが、エロをカットした全年齢仕様。全12話の1クールで終了し、半年後に特別編としてさらに2話製作された。特別編は過去編の補完エピソード。またTVアニメ放映中の同年2月には「劇場版」も公開されているが、こちらは原作の背景設定を題材としただけのほとんど別物の作品。 TVアニメ版は原作をほぼ忠実に再現しており、作画レベルは中の上程度だが、ストーリーをテンポ良くまとめ、要所をキッチリと抑えた佳作。アニメの制作元である「京都アニメーション」を一躍有名にし、また聖地巡礼ブームの火付け役ともなった。 現代を舞台としてはいるが、物語の根幹を成しているのは非現実的な設定のファンタジー物。そのためいかに上手くプレイヤーを虚構の世界へと導けるか否かが鍵となるが、ストーリーの多くを占める日常シーンは平板で、会話自体にもさほど面白味を感じられない。 それでもそこを乗り切って作品世界に没入することが出来れば、一際優れた楽曲にも支えられた深い感動が待っている。 |
初稿:2010.06.15 |
AIR Standard
|