::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
「多良見ヶ丘学園」の3年生で文芸部所属の主人公「佐々木涼」は、卒業を間近に控えたある日、同部の後輩から告白される。しかしその心の中には、数年前から想いを寄せる別の女性の存在があった。 ゲーム内の期間は5日間。移動場所は部の活動場所である図書室を中心に、学園内各所や自宅など。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は6人。内訳は同級生2、下級生1、保険医1、義姉1で、その他に隠しキャラ扱いの女子高生が1名。 やや強姦紛いのシーンがあるものの、Hシーンはほぼ和姦。回数は女性1人に付き2〜4回。アナルファックのある女性もいるが、その他に特殊なシチュエーションも無く、Hシーンはごくノーマル。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、過去ログ(音声履歴無し)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット30)。シーン回想はサムネイル付。その他に画面効果の調整や各キャラごとの音声のON・OFFも出来る。 ディスクレス起動は不可で、起動時には毎回メディアチェックが行われる。 |
◆ シナリオ ◆ |
【青の時代】 マルチエンド形式のAVGで、エンディングは12種類。女性1人に付き「HAPPY END」と「BAD END」の2種類が用意されている。公式サイトには攻略チャートが掲載されており、女性と結ばれずに終わるエンディング等を「BAD」と分類しているが、「BAD END」であっても話自体は綺麗にまとめてあり手抜きは無い。特定の女性と「HAPPY END」を迎えると、当該女性に対応した「アナザーストーリー」の選択が可能になる。 表示画面はビジュアルノベルタイプ。ルート分岐点が早めに設けてあり、共通シーンは少ない。実質期間は5日と短いものの、フラッシュバックを多用してシナリオのボリュームを補っている。 本作には隠しシナリオも用意されており、ヒロイン5人のエンドに到達すると当該ルートが出現する仕組み。本編から一転して異色のストーリーとなるため、作品全体の雰囲気からこのルートだけが浮いている印象。 【常に生産限定】 本作は2001年9月に発売された『Crescendo〜永遠だと思っていたあの頃〜』をリメイクした『Full Voice Version』の「復刻版」。フルボイスへのリメイク時には「アナザーストーリー」が追加されたが、復刻版については変化無し。同梱物とパッケージイラストは変更されたものの、ストーリー内容は全く同じ。 「アナザー」と名付けられたそれらのストーリーは、本編とは全く別世界の「パラレル」もしくは「if」ストーリーであったり、本編の後日談となる「アフター」ストーリーであったりと、形態は様々。 本編は短いながらもキチンとまとまった物語であるため、ヘタに加筆すればバランスを崩す恐れもあった。リメイクに際してシナリオのボリュームを増やすための手段として「アナザー」を選び、本編に余計な肉付けをしなかったのは製作者の好判断。 |
◆ 総評 ◆ |
【Point
of No Return】 ストーリーは卒業を4日後に控えた主人公が、在学中にやり残した数々のケジメを付けるという流れで進行する。ただしさすがに3日間で新しい出会いや進展があるわけもなく、ゲーム開始時点である程度の流れは出来ている。そのためプレイヤーにはストーリー進行中に、随時過去を振り返ながらこれまでの経緯が説明される。 片思いをしている親友の彼女との物語がメインとなるが、その他にも自分に想いを寄せる後輩、売春を続ける級友、憧れの保険医、そして近くて遠い存在の義姉との決着を各ルートで付けて行く。 登場人物達は、お互いに大切な人の事を思って行動するものの、それでもすれ違い傷付け合ってしまうという切ないストーリー。 【姉と弟】 養子であり、姉とは血縁のない主人公。3年前のとある事件をきっかけに2人の関係も激変してしまった。しかしそれでも表面上はごく普通の姉弟を演じてきた2人。その2人の関係が卒業を前にしてどの様に変化して行くかが本作の大きな見所。 そしてアナザーストーリーでは、そんな2人の3年後を描いている。3年前は頼りがいのあるしっかり者だった姉。逆に、まだ子供であり姉の庇護下にあった弟。そんな2人の立場が逆転している所からスタートするという絶妙の設定。 そのアナザーストーリーでは、他のヒロインを凌駕するボリュームが用意されており、途中では分岐も設けられている。エンドが2種類あるのも姉のシナリオだけ。そして唯一人、「if」ではなく「アフター」ストーリーだった点も含めて、製作者が義姉を特別扱いしている事が窺い知れる。
主人公が最後の一歩を踏み出すかどうかでエンディングが決まるという展開。踏み出さなければ傷付かずに済むという、虚しくも美しいバッドエンドを迎える事になる。物語は主人公視点で進んで行くが、時には女性視点に、更には第三者視点にも切り替わりながら進行する。これらの演出を違和感無く仕上げているあたり、かなりハイレベルなシナリオ。 |
初稿:2006.01.05 |
Crescendo〜永遠
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