::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
主人公「森川恭一」は「雪見ヶ丘学園」に通う2年生。個性的な両親と親友3人に囲まれ、ごく普通の学生生活を送っていた。ある日、両親が施設から孤児を引き取って来たため、戸惑いながらも共同生活を始める事になる。 ゲーム内の期間は2月1日(日)から始まり、攻略対象によっては最長で2月29日(日)までとなる。移動場所は自宅〜学園を中心に、バイト先や友人宅ほか、街の主要箇所。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は5人。内訳は同級生3(巫女1)、上級生(幼馴染)1、下級生1。メインヒロインは同級生(転校生)で、やや天然属性。妙な造語を常時使用する。 Hシーンは全て和姦。回数は1人に付き各1回。メインヒロインは追加シナリオで+1。1つのシーンの中で2ラウンド目に突入する場合もあり、純愛系にしては多少濃い目の仕上がり。 腹違いの妹かも知れないと理解しながら、ヒロインを抱く主人公。腹違いの兄である可能性を知りながら、抱かれる事を望むヒロイン。「麻衣」ルートにおいて、2人は禁断の領域へと足を踏み入れる。本作における唯一の背徳的シーン。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、音声リピート、過去ログ(音声履歴有り)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能。セーブスロットはサムネイル・コメント付の全80箇所。テキストはマウスホイール対応で、ディスクレス起動も可。シーン回想はサムネイル・タイトル付で、回想途中でも選択画面に戻れる。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディングは6種類。基本は1人に付き1つのエンドとなり、女性だけでなく主人公の友人(男)にも用意されている。その他に、バッドエンドのある女性もいる。 ストーリーは、2月14日に本命チョコを誰から貰えるかでその後のルートが確定し、後は一本道。本命チョコを貰うためには浮気心は禁物で、ひたすら狙った女性を追い続けること。基本はごくノーマルな学園モノだが、一本だけファンタジー路線のストーリーが入っている。また、各ヒロインを攻略するごとに、該当ヒロインの追加ストーリーが出現する仕組み。 本作は、2004年7月にリリースされた『Dear My Friend』のリメイク。旧作と、2005年5月にコンシューマへ移植されたPS2版(全年齢対象)、そして両作品の「いいとこ取り」をした「マージ完全版」の計3作品を収録している。注目のマージ版は、PS2版をベースとして、旧作のHシーンを追加した仕様。システム周りの修正や、シナリオの追加等が行われた。ただしマージ版のみをコンプしても、CGやシーン回想は全て埋まらない。しかしながら3作品は独立しているため、既読判定も各々で判断される。 |
◆ 総評 ◆ |
【...more
than friend and under sweethearts】 「男女間の友情」という、デリケートで難しい問題をメインテーマに据えた本作。だが、各ヒロインのストーリーの主軸となるテーマは「出生の苦悩」「幼馴染との距離」「能力者への蔑視」であり、メインヒロインにおいても「家族との絆」の方がクローズアップされて、メインテーマは二の次にされている。 その意味ではスタート時から既に友人で、その後も微妙な関係が続いている「都香」ルートが、最も本作のテーマに沿っている。特に登場キャラ中、かなりのインパクトを持つ両親(特に父親)が、最後までちゃんと役割を与えられている事から見ても、恐らくはこれが本作における真のストーリー。 【amoretto】 男女間の友情が難しい理由はたった1つで、それは恋愛感情にある。想いを打ち明ければ、相手の返事がイエス・ノーに関わらず友人としての付き合いはそこで終わる。友情を壊してでも自分の想いを伝えるか、あるいは愛情を抑えて友情を優先させるか。 そこに大きな苦悩があるわけだが、本作では告白自体は既に終わっている。その上で都香と友人関係を続けているという、かなり面倒な状況で物語が始まっている。まさに生殺し状態であり、その辛さは察するに余りある・・・と思いきや、告白を断られたにも係わらず、Hはその日に済ませていたり、実は相手も主人公にベタ惚れだったりと、そこはやはりエロゲーならではの展開。 【弱ヘタレ】 本作の主人公は、仕事に追われる両親に代わって家事全般を引き受け、さらに自分の小遣いはアルバイトで稼いでいる。高校生で親掛かりながら、かなり自立した精神の持ち主。しかし事が恋愛沙汰になると一転、ヘタレ気質が顔を覗かせる。 純愛ゲームの主人公らしく、最終的には女性の想いに答えてキッチリ締め括るものの、そこへ至るまでの過程は結構なヘタレっぷり。ヒロインからの求愛に優柔不断な態度を取り、何度となく気持ちを踏みにじって行く。 独歩の気風に溢れていても、やっぱり男子高校生。恋愛に関して照れが先行してしまうのは、ごく普通の反応と言える。
会話シーンにおけるテキストが今一つで、無駄なセリフが多いため、つられてストーリーのテンポも悪化している。このリズムに慣れるまでが難点だが、ポイントはキッチリ押さえられており、トータルで見れば良くまとまっている。ありふれた日常に、「異性で同い年の同居人」という非日常をうまく溶け込ませた作品。 |
初稿:2010.12.01 |
Dear My
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