::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 舞台 ◆ |
最終戦争後、唯一人類に残された近未来都市の一区画「メディアセンター地区」。SSクラスのスナイパーである主人公「ジョー・タカナカ」は、ブラックウィドウ殲滅のために身分を隠し、新人スナイパーとして同地区へ配属される。 ゲーム内の期間は不明。移動場所はメディアセンター地区内の主要箇所。ストーリーが進むにつれて、移動場所も増えていく。 |
◆ ターゲット ◆ |
登場女性は7人だが、本番可能となると4人に絞られる。内訳はヒロインである同僚スナイパーが1名、ナース1名、OL1名、アイドル1名。他の女性はサービスカットのみ。 Hシーンはかつてのelfオハコである、画面クリック方式。今プレイすると、たまらなく煩わしく感じる可能性大。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、過去ログ(音声履歴有り)を搭載。セーブ・ロードはアイコンモード時のみ可能で、スロットは5箇所サムネイル・コメント付。テキストは瞬間表示に固定。スキップはCtrl強制で、既読・未読判別は不可。フルスクリーン固定であり、ディスクレス起動も出来ない。 |
◆ シナリオ ◆ |
一本道のストーリーであり、コマンド総当り方式のAVG。超凄腕のスナイパーだが、密命を帯びているため普段は凡才を装う主人公。だが事件が起こる度に鋭い所を見せるので、ヒロイン「エル」に次第にその正体を怪しまれ始める…。 本作は1991年にPC98版で発売された作品のリメイク。当時は『elle』の名義で発売されていた。テキストなどは当時とほとんど変わっておらず、ストーリー中に時々古臭いギャグが出るのはそのせい。 ミステリー物でもある本作は、当然ストーリーが進むに連れて謎が明らかになって行くわけだが、物語が最高潮に達した時、突如急展開する。ハッキリ言ってしまえばこの作品、ほとんど夢オチで締め括られる。 その意味では確かに意外な展開でもあるが、夢オチはちょっといかがなものか。ラストに向かって盛り上がるプレイヤーのテンションを下げるには十分。この作品に低評価を与えるプレイヤーは、やはりこのオチの付け方に納得がいかないのだろう。 折角シナリオ自体が良かったのだから、夢オチではないそのままのストーリーのエンディングも作って欲しかった所。この辺りが非常に残念。 |
◆ 総評 ◆ |
【真の18禁】 エロが薄い本作。しかしこの作品に限っては「18禁」が別の場所で威力を発揮している。主人公の同僚達は次々と敵に殺されて行くが、その殺され方がハンパで はない。大半が「腸のはみ出た死体」として無残な姿を晒してくれる。そしてそれだけでは終わらず、発見後には当該死体をくまなく調べさせられるという拷問が待ち受けている。 更にその死体に辿り着くまでの演出が無駄に凄い。通常画面から突如3Dムービーが始まり、死体発見までの緊張感をたっぷり味わう事が出来る。最初の死体発見シーンのインパクトが強いため、その後第2、第3の死体発見シーンでは、ムービーが始まった途端「来る、腸が来る!」と軽いトラウマに。 公式サイトにも「腸のはみ出た死体」のCGは掲載されているので、不安な人は確認しておくのも手。 【THIS IS ONLY THE BEGINNING】 夢オチで終わるのはどうかと前述したが、伏線はちゃんと張られている。それもオープニング直後に。しかし物語が急展開した時、そのシーンを思い出すプレイヤーはほとんどいないだろう。むしろ再プレイ時の確認要素。 最後は自分の分身を倒し、エルと共にアダムとイブさながらに2人で新たな生活を営む事になる主人公。しかしオーラスで、遥か宇宙からこの光景が観察されている描写があり、画面は「BREED」の文字で埋め尽くされる。つまり全ては仕組まれた事だった。主人公達が仮想世界で弄ばれたのも、それに気付いた主人公が反乱を起こすのも、そしてエルとの再出発さえも。 「BREED」とは、「子を産む」「繁殖する」。全てを打ち壊し、新たな始まりに見えたエンディングだが、それは何者かの計画が第2段階に移行したに過ぎないという事。何者かの正体は分からない。そもそも物語の設定である「2030年」からして偽りであるのだから、正確な推測は不可能。
シナリオのボリュームは並程度。週末の暇つぶしには丁度良い。しかしこのゲームには画面のそこら中が遊び心で溢れ返っている。ロッカーをクリックすれば婆さんが飛び出し、空をクリックすればコロニー落としが始まる。 |
初稿:2004.07.07 |
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