::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
埠頭の倉庫街に居を構える「あまぎ探偵事務所」所長の主人公「天城小次郎」。夜半にスーパーで買い物を済ませて住宅兼用の事務所へ帰る途中に、人気の無い港の岸壁で一人佇む少女と出会った。 諜報機関「内閣情報調査室」に所属する1級捜査員の主人公「法条まりな」。深酒して終電も無くなり途方に暮れていたある時、目前の「イースタンデパート」の屋上に立つ青年の姿を見付けた。 ゲーム内の期間は8月9日から始まり、8月16日までの8日間。移動場所は中央公園やセントラルアベニューなど港町一帯。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は、一方の主人公である「まりな」を含めて5人。内訳はお姉系3、黒髪少女2。Hシーンは全て和姦で、回数は各女性につき1回ずつ。野外でのシーンが多いものの、シチュエーションはごくノーマル。 小次郎とまりなのHは無し、というシリーズの不文律は本作でも守られている。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、過去ログ(音声履歴有り)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、イベントシーン以外での随時セーブ・ロードも可能(スロット90)。ただし再開はシーン冒頭からとなる。テキストはマウスホイール対応で、瞬間表示に固定されている。シーン回想は無く、CG閲覧のみ。ディスクレス起動も不可。 |
◆ シナリオ ◆ |
一本道のAVGで、基本的にストーリー途中での分岐は無い。ただし捜査の進行度合や選択肢によって、未回収のシーンやCGが発生する。「調」「話」「他」の3つの親コマンドから、さらに画面の上下左右をクリックして進める方式。総当たりする必要は無いが、画面の中に隠されている「記憶の欠片」を集めなければCGは全て埋まらない。 シリーズのウリであるサイトチェンジシステムは本作でも採用。同じ時間軸における、2人の主人公の異なるストーリーを交互に進めて行く。どちらか一方だけを進めることは出来ず、必ず途中で詰まることに。ゲーム開始直後は強制的に「小次郎サイド」から始まるが、すぐに「まりなサイド」にも切り替えられるようになる。 本作は2006年8月にPS2版として「角川書店」から発売された『EVE 〜new generation〜』のリメイク。プラットフォームをWindowsへ移した事に伴って、Hシーン追加等の18禁化が行われた。そのため声優陣も一新され、これまでコンシューマ・PC問わず一貫して小次郎役を担当していた「子安武人(十文字隼人)」は初めてキャストから外れることとなった。 |
◆ 総評 ◆ |
【シリーズを救った作品】 1995年11月に初代『EVE 〜burst error〜』がリリースされて以来、数多くの「EVE」作品が世に送り出された。第2弾『EVE the lost one』以降は、生みの親である菅野氏の手を離れ、様々なライターの手によって引き継がれている。しかし初代が傑作だったこともあってか、シリーズの評価は低空飛行を続けていた。 そんな中で産み出された本作は、2000年3月の『EVE ZERO』以来となる、実に6年振りの完全新作。18禁作品としては1999年6月の『ADAM 〜THE DOUBLE FACTOR〜』以来8年振りのこと。ライターには新たに打越氏を迎え、シリーズ史上初めて「エルディア」絡みから離れた本作は、初代のテイストも残しつつ、新たなEVEとして見事に蘇った。「EVE」というブランドを食い潰して来た感のあるこれまで状況から、ようやく次のステージに向かって踏み出した印象。 初代EVEでは小次郎とまりなの個別の物語が徐々に近付き、最後に合流という流れだったが、本作では序盤から頻繁に交錯しつつ終盤へと向かう展開。一方でキャラ描写に関しては、初代では主人公を中心としてサブキャラまでも魅力的に描いていたが、本作では既存キャラの活躍シーンは縮小傾向にあり、特に『悦楽の学園』以来の不動のレギュラー「氷室」はバッサリと出番を削られた。また主人公に関しても、小次郎のみを徹底してスマートに描く傍らで、本作のまりなは弱さや脆さにスポットが当てられ、有能な捜査官という側面は薄れている。 【古株救済企画】 本作発売時の予約特典として『氷室ディスク』が添付された。これは本編のサブキャラ「氷室恭子」を主人公としたショートストーリーと、システム音等を収録したオマケDISK。 注目は「氷室補完計画」と銘打たれた、本編のアフターストーリー。前述の通り、本編ではHシーンはもちろんのこと、大した活躍の場も与えられず陽炎の様に存在感の薄かった氷室にスポットを当てた作品。後日談という位置付けだが、まさにHシーンのみで構成されており、本筋の物語は何の進展も無し。そして期待のHシーンもワンシーンのみ。それでも製作されたのは、彼女の有する潜在的な人気の証。
コマンド選択は、サイトチェンジと並ぶEVEシリーズの象徴ではあるものの、親コマンドを画面の端に配置した本作の使い勝手は相当に悪い。Windowsへの移植時にキッチリと見直す必要があった。 |
初稿:2009.09.02 |
EVE 〜new
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