::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 舞台 ◆ |
再開発の進むセントラル街と、廃墟と化したゴーストタウンという2つの側面を持つ海辺の街。そこに探偵事務所を構えるのは、ライセンス“A”を所有する主人公「悪行双麻」。彼の下にいつも通りの厄介な仕事が舞い込むが、それは彼の想像を超える事件へと発展して行く。 ゲーム内の期間は、10月1日からスタートして約1ヵ月間。移動場所は街一帯。海浜公園から中華街、反対側のゴーストタウンまで含まれ、それなりに広範。 |
◆ ターゲット ◆ |
そこそこ女性は登場するものの、本番可能な女性はたったの一人。他の女性はストーリー上ではHした事になっているが、Hシーンは一切カットされている。 なぜこんな悲惨な仕様になったかについては理由がある。その辺りの事情は「総評」で。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、過去ログ(音声履歴無し)を搭載し、ディスクレス起動も可能。テキストはマウスホイール対応であり、キャラごとの音声ON・OFFも出来る。ボタン1つで画面をすり変える機能も中々ユニーク。 しかし特定の場所でしかセーブ・ロードが出来ず、スロットも10箇所と少ない。スキップを搭載しているが、既読・未読の判別は不可。シーン回想はそれぞれのセーブデータごとに独立しているが、このゲーム唯一のHシーンが収録されていないという厳しい仕様。 |
◆ シナリオ ◆ |
一本道のAVGで、詰まる所はコマンド総当り方式。一方で本作は探偵物として「依頼の解決」という点に力を入れている。依頼を受けて、期限内に解決すれば料金を満額受け取れるが、期限を過ぎると徐々に減額されるというシビアなシステム。移動の度に時間が加算されるため、極力無駄な移動を減らす事が必要となる。 結構な緊張感を味わう事が出来るが、実は減額された所でゲーム内では大して影響がない。またストーリー上で、所持金が余り意味を成していないのは残念。 |
◆ 総評 ◆ |
【タイトルに偽りあり】 本作は先行のWin版『不確定世界の探偵紳士』のリメイク。旧作には、多くは無いがそれなりにHシーンが存在していた。それが「Hardcore!」のサブタイトルと共に復活し、さらに「ミントの夜のお務め」も追加されたと聞けば、否応無しに期待も高まるというもの。 しかし正確には旧作ではなく、DC版『探偵紳士DASH!』のリメイクであって、Hシーンは削られたままだった。結局エロは件の「ミントの夜のお務め」だけとなり、何ともお粗末。「Hardcore!」のサブタイトルを冠するにはいささか荷が重すぎた。 ちなみにゲームを完全クリアすると前述の旧作(音声無し)をプレイ出来るようになる。 【さらにリメイク】 既に本作の生産は打ち切られており、2004年5月にアーベルソフトウェアからリメイク第3弾となる『不確定世界の探偵紳士Rebirth!』が発売された。基本ストーリーはそのままで、原画は新たに書き直されたものの、残念ながらエロの薄さは改善されなかった。 2003年5月には同じくアーベルソフトウェアから『不確定世界の探偵紳士Virginal Vol.1』がリリースされ、翌月の『Vol.2』で完結。こちらはDVD-PGで、作画を含めて『不確定世界の探偵紳士Hardcore!』をベースとしている。DVDプレイヤーで操作出来るというだけで、目新しい部分は無い。
日本という設定ではあるが、どこか存在感の希薄な、まさに「不確定世界」。そこで繰り広げられるハードボイルドなストーリーと、活躍するのはクールでタフな主人公。この手のジャンルは菅野氏の得意分野。その世界観は『不可逆世界の探偵紳士』へと受け継がれている。 |
初稿:2004.08.11 二稿:2005.09.13 |
不確定世界
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