::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 舞台 ◆ |
「筑波航空学校」の一種飛行予備生徒であり、戦闘機パイロットの主人公「萩野社」。関西軍との戦闘再開に備えて、校内訓練に勤しむ日々を送っていたが、その胸の内には秘めたる決意があった。 ゲーム内の期間は不明。移動場所は自室を中心として、教室や中庭等の校内各所、管制塔など。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は5人。内訳は同級生、下級生、教官の3名がメインとなり、カメラマン、眼鏡の2名はサブ要員。 Hシーンは全て和姦。回数は女性1人に付き、各1〜3回。「フェラ」「69」「パイズリ」「野外」といったシチュエーションが導入されているものの、フィニッシュシーンはホワイトorブラックアウトで終わる等、ストーリー重視の作品らしくエロ面は弱い。それでも1シーンで複数ラウンドこなしたり、付き合い始めのカップルらしくラブラブ感をしっかりと出すなど、それなりの健闘は見せている。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、音声リピート、過去ログ(音声履歴有り)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能。セーブスロットはサムネイル・コメント付の全80箇所で、クイックセーブ・ロードやオートセーブにも対応している。テキストはマウスホイール対応で、ディスクレス起動も可。シーン回想ではエンディングも収録され、回想途中でも選択画面に戻れる。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディングは6種類。女性1人に付き1つのエンドとトゥルーエンド、その他にバッドエンドも用意されている。共通パートの後に、個別ルートへ入ると選択肢は無く、最後まで一直線となる。ただし当初はヒロイン3名のルートしか入れず、残る2名はその後に。全員のエンドに到達すると「GRAND ROUTE」への道が開かれる。 複雑な背景設定があり、その辺りの事情は随所に語られるが、その理論等を完全に理解する必要はなく、面倒な場合はサラリと読み流すことも必要。 本作は2005年10月にリリースされた『群青の空を越えて』の、文字通りVistaに対応させただけの作品であり、シナリオ等に変更は一切無し。内容的にはコンシューマでもほぼ問題なく行ける作品だが、今の所移植は行われていない。 |
◆ 総評 ◆ |
【東西対決】 もし日本が分裂して戦うことになったら・・・という架空戦記物の本作。関東地方・北海道・沖縄が、それぞれ日本から独立しているというショッキングな世界観。そして関西を中心とした日本と、関東地方が戦争状態にある。 しかしながら、必死に戦っているのは軍人のみで、市民はどこか他人事のように冷めている。また、当の軍人達も終戦が近付くと、戦科学校を出ただけでロクな学歴も無い自分達が、平和な時代でやって行けるか心配するという現代っ子らしい一面も。 戦争物ではあるが、マッチョイズムに支配されていたり、狂信者の如く戦闘行為に陶酔することも無く、いかにも「現代で戦争が起こったら」ありそうな描写となっている。一方で、思春期の少年達の、死を前にした性への渇望は、100年前と何ら変わりは無い様子。 【ANTICLIMAX】 メインヒロイン3人のルートでは、ハッタリの効かせた背景設定を活かしつつ、戦争という題材の魅力を十分に引き出していた。そしてその後はサブヒロイン2人、さらにはグランドルートと、プレイヤーに段階を踏ませてストーリーが進行して行く。 ところがその内容は徐々にパワーダウンしてしまい、結局最後はご想像にお任せしますのパターンで締め括っている。そして物語を補完するエピローグも、個別エピソードも無い。壮大なテーマを掲げて大きく振りかぶった割に、最後は収拾が付かなくなってしまった印象。
戦争を扱った作品だが、物語の要所は女性陣が押さえている本作。一見、童貞を捨てるための道具扱いの様だが、主人公を含め男性陣が泣き言を言う時も、時に優しく、時に厳しく諭すなど、非常時にどちらの肝が据わっているかは明らか。 |
初稿:2011.01.05 |
群青の空
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