::: エロゲーの殿堂 :::

緋の月

時は幕末。

主人公・惣一は、剣の師匠である霧と二人で旅を続けていた。
表向きの旅の目的は、惣一の剣の修行。

惣一の修行と称して町道場を転々としながら、二人はとある人物を探していた。

二人の本当の旅の目的は、霧の養父を殺した仇を探し出すこと。
探し出して、養父の無念を晴らすことだった。

公式サイトより

ストーリー エロ 感動 システム キャラ ボリューム 総計 主人公
Ba Ca Ba B B Caa 63 Ca
 
メーカー
発売日
定価
シナリオ
原画
備考
:みるくそふと
:2003.10.24(Fri.)
:\8,800-
:G・ハギス,根上広行
:ねこにゃん
DL版あり
 
ジャンル
音声
名前変更
修正ファイル
属性
季節
:AVG
:○
:×
:−
:時代,謎
:−
 
OS
CPU
メモリ
CD-ROM
解像度
HDD
:Windows98/2000/Me/XP
:Pentium350MHz以上
:128MB以上
:倍速以上
:800×600,HighColor以上
:700MB以上
 
◆ 舞台 ◆
 主人公「惣一」は、幼馴染であり剣術の師でもある女性の、仇討ちの旅に同行していた。仇敵の行方を求めて諸国を訪ね歩き、既に一年が経過。迎えた二度目の夏、二人は港町を抱える小国に立ち寄った。

 ゲーム内の期間は15日間。移動場所は、逗留先である「胡桃屋」を中心として、剣術道場や城代家老の別邸、診療所など。
 
◆ ターゲット ◆
 攻略可能な女性は4人で、「胡桃屋」の女将は攻略不可。内訳は、幼馴染1、女医1、天然ロリ1、お嬢系1。天然の友人には、哀れな陵辱シーンも用意されている。
 Hシーンはほぼ和姦で占められており、女性1人に付き1回。ただし裏のヒロインであるお嬢系は2回あり、その内の1つは短いながらも1シーンで2ラウンドこなしている。
 モザイクは比較的薄めだが、Hシーンにおけるテキストは淡白で、大した盛り上がりもないまま終わってしまう印象。
 
◆ システム ◆
 各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、過去ログ(音声履歴無し)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能。セーブスロットは全100箇所で、サムネイル・コメント付。ディスクレス起動も可。
 フルボイス仕様のため、主人公の声も収録されている。しかし音声選択は「男・女」のみなので、主人公の声だけをカットしたい場合はインストール時に選択する必要がある。

 時代物という事で、メッセージウィンドウを縦にすることも出来る。テキストも明朝体であり、それなりの雰囲気は出ている。
 
◆ シナリオ ◆
 マルチエンド形式のAVGで、基本となるエンディングは3種類。女性1人に付き、エンディングも1つとなっている。狙ったヒロインを追いかけていけば、難なくエンドを迎える事が出来る。そして各エンドを迎えるごとに、ストーリー上の謎も徐々に明らかになっていく。しかし、全てのエンドに到達しても、依然として謎が残ったままとなる。
 上記3つのエンドを見ると、タイトル画面の変化と共に、最後のストーリー「緋の月」を選択出来るようなる。一本道で分岐は無く、ここで全ての謎が明らかになるという構成。

 ストーリーの核となるテーマは「仇討ち」。必然的に物語の空気も重くなりがちだが、メインヒロインの明るさがそれをカバーしている。物語の核心に迫るまでは比較的コミカルに進行していく。
 
◆ 総評 ◆
【幕末マルチサイト】
 「仇討ち」はメインヒロインと主人公のテーマであり、残る2人の女性はまた別の問題を抱えている。一人は「医師としての使命」であり、もう一人は「忍びとしての宿命」。
 時代に取り残され、そして忘れ去られた「忍びの一族」の誇りと魂を継承しようと奮闘する天然少女。その健気さが、持ち前の天然色を打ち消すほどの切ないストーリーが用意されている。

 最終シナリオ「緋の月」は、メインヒロインである「霧」ルートの裏側であり、ここからマルチサイトが始まる形。そのためこのシナリオでは、メインルートにおいて仇として主人公達が追っていた「神崎」視点へと切り替わる。
 そしてこの最終シナリオをクリアすると、さらにタイトル画が変化する仕組み。

【やったらやり返される】
 父親が自殺に追い込まれたと思い込み、誤解したまま「仇討ち」の名の下に殺人を犯した真の主人公「神崎」。しかし今度は自分自身が、誤解から「仇」として狙われる事になってしまった。
 その後は、病床の妹を救うために数々の悪事に加担したものの、実は体良く利用されていただけ。妹と同年代の女性を数多く犠牲に捧げたにも係わらず、結局妹を救う事は叶わなかった。

 それらは全て因果応報。妹を失って、ようやく正気を取り戻した神崎は自ら死を選ぶ。かけられた誤解を解くこと無く、あえて復讐者の手にかかって果てた。「仇」のままで世を去る事により、憎しみの連鎖を断ち切ったのである。

 

 離れていった憧れの人か、それとも近くで支えてくれた幼馴染か。メインヒロインの複雑な胸中をもっと描き出していれば、ストーリーに一層の深みを与える事が出来ただけに、この辺りは惜しい所。また、殺陣が多いものの、肝心の演出のチープさも残念。
 ちなみに本作のタイトル「緋の月」とは、燃え上がる炎に照らし出されて、紅く染まった月を意味する。そして同時にそれは、この物語の始まりと終わりを示唆している。
 

初稿:2005.05.18

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