::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
主人公「小暮健太」は「桜蘭学園」に通う3年生。学生生活最後の夏休みを迎え、思い出作りに勤しむ毎日を送っていたが、ある日自宅に差出人不明のラブレターが届く。逸る気持ちを抑えつつ、指定された旧校舎へと向かった。 ゲーム内の期間は、プロローグが7月22日から始まり、計3日のイベントを消化。本編は8月10日の丸1日のみとなる。移動場所は旧校舎内のみ。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は6人。内訳は女教師1名を除き、後は全員同級生。お嬢様、眼鏡、クール等要所は押さえられている。更に男(同級生)のHシーンも用意されている。 和姦は一切無く、Hシーンは全て強姦ないし強要。シチュエーションはアナル、放尿、縄縛、3Pなどもあるが、作品の雰囲気に比べてそれほどドギツイものはない。 Hシーンは全て遺作の主導によるもので、女性の相手をしているのも殆どが遺作。主人公が絡むHシーンは、たった一つのみ。自分の意思では全く女性に手を出せず、遺作の凶行を指を銜えて見ているしかない。 女性達の意思を無視したHシーンではあるものの、ある意味究極の寝取られゲーム。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節を搭載しているが、過去ログやオートモードは無し。スキップもCtrl強制で、既読・未読判別は不可。セーブ・ロードは特定の場面に限られ、スロットも全8箇所。フルスクリーン固定であり、ディスクレス起動も不可。起動直後のモノローグは「Shift」キーでスキップ可。 |
◆ シナリオ ◆ |
【トラップアドベンチャー】 マルチエンド形式のAVGで、エンディングは5種類。その内で「HAPPY END」はツインヒロインである「美由紀」と「琴未」に対応した2つのみ。他の女性に個別エンドはない。 「サスペンスAVG」と銘打っている通り、謎解きがメインとなる。移動画面は3Dダンジョン風で、基本は階下へ降りるための鍵探し。そのためには旧校舎内ひたすら歩き回り、ヒントを集めて推理しなくてはならない。しかし余りにも隈なく調べ過ぎると、どうでもいい「猫の死体」まで発見してしまうので、グロイのが苦手な方は注意。 また、鍵探しばかりに没頭していると、クラスメイトを続々と失うことになる。その場合、鍵探しの他にビデオテープ探しという、別の宝探し要素も発生する。 ストーリーはダーク路線で、終始緊張感に満ちた展開。そんな中にあっても、登場人物達との掛け合いや「陣八の股間」等、笑いを誘うテキストも織り込まれている。 【元スペシャルディスク】 PC98の時には購入者への通販専用だったスペシャルディスク『盗作』。本作ではこの『盗作』もリメイクして、同梱されている。本編と同じく旧校舎を舞台としているが、ムードは180度異なるパロディ作品で音声は無し。遺作が「陣八」と共に謎を仕掛けていた様子が明らかにされている。 本編での「HAPPY END」はヒロイン2人分だけだったが、新たに他4人のエンディングが追加された。本来『遺作』には女性全員分のエンディングが用意されていたが、結局2人だけになったので、余ったエンドCGをここで流用した形。本編中に、ストーリーとは無関係の選択肢が残っているのもその影響。 ただし『盗作』ではこれらのエンディングを強引にねじ込んだだけなので、本編との繋がりは全く無く、「里香」の眼鏡を外した姿以外に見るべき点は無いだろう。 最後のシーンでは、『遺作』を根底から覆す「携帯電話」の存在をネタにしている。この作品が最初にPC98でリリースされたのは1995年8月25日。まだ一般(特に高校生)に携帯が普及していない時期だったからこそ成立した物語。 |
◆ 総評 ◆ |
【彼方立てれば此方が立たぬ】 エロにも重点が置かれている本作。しかしそのHシーンを閲覧するためには完全クリア(HAPPY END)を放棄しなくてはならない。つまり「HAPPY END」を目指すためには、1人として欠ける事なく脱出へと導かねばならず、イコールそれはHシーンがゼロになることを意味する。 犠牲者が出て、初めて現れるエロス。Hシーンを見たければ、あえて女性達を遺作に捧げなくてはならない。この辺りが実に上手くプレイヤーのジレンマを誘っている。結果として「HAPPY END」とHシーンを見るために、否応無しに複数回プレイをしなくてはならなくなる。 それを見越して、人数が揃っている時と欠けている時で微妙に会話を変えるなど、演出にも工夫が凝らされている。 【壊れゆく友情】 退学処分を免れるため、遺作の手先となる道を選んだ「陣八」。その後は数々の悪事に手を染め、自分の彼女までも遺作に捧げてしまった。遂には、クラスメイトを遺作の毒牙にかけさせた上、親友である主人公もろとも殺害するという恐るべき計画に加担してしまう。 そんな彼の行動を当初から不審に思い、遺作の共犯者であると主人公に訴える美由紀。だが主人公は彼を信じて庇い続けた。やがて陣八も主人公に全ての事情を打ち明け、心からの謝罪をする。 しかし最後の最後になっても、やはり陣八は遺作に手を貸し、結局主人公を裏切ってしまう。全ては自分の身を守るために。 「HAPPY END」を迎えるためには、主人公もまた陣八を信用せずに、彼を監禁しなくてはならない。つまり互いに友誼を捨てて、初めて真の結末に辿り着けるという、何とも切なく哀しいストーリー。 【OVA】 1997年11月にピンクパイナップルより『遺作 惨劇一』が発売された。全3作(+総集編)がリリースされ、現在はDVD化されている(遺作DVDコレクション-1,-2)。ストーリーは、本編の「全員捕まって陵辱後に、遺作を倒して脱出」という仮想ルートを基本としているが、各所はアレンジされている。 残念ながら作画レベルはかなり酷いもので、原作の面影が全く無くなってしまったキャラもいる。 2001年2月には『遺作〜Respect〜 第1幕』が発売。その後『第2幕,第3幕』と、前シリーズ同様3作で完結(+総集編)。前シリーズの続編ではなく、内容は前作で全員捕まった時点でのヒロインの回想という形で進んで行く。 作画レベルが大幅に向上した反面、放尿・放屁といったスカトロ面も強化されているので、抵抗感のある方は注意が必要。
通常の陵辱エロゲであれば、主人公は女性を「狩る」側となるが、本作では女性達と共に「狩られる」側に立たせた。これによって「女性を守る」という要素、すなわち「見えない敵」との戦いが付加された。単なる謎解きゲームに留まらない魅力が本作にはある。 |
初稿:2004.12.29 |
遺作 |