::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 舞台 ◆ |
24歳の主人公「リョハン」は武術と符術を修得した「導士」。行き倒れの自分を救ってくれた村のために、日夜盗賊と戦い続けている。しかし一人で村を守る事に限界を感じ、弟子を育成するために道場を開いた。 ゲーム内の期間は1年以上に及ぶが、実際にプレイするのは約1ヵ月間。移動場所は道場を中心として、村や街に出掛ける場合もある。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は5人。内訳はお姉系、遊女、褐色、天然、クールが各1名ずつとなり、メインヒロインに含まれるロリ系とチャイナ服の2名にHシーンは無い。 Hシーンは全て和姦で、回数は女性により1〜4回とバラつきがある。特殊なシチュエーションも無く、中には唯一のHシーンがフィニッシュ前に終わってしまう場合もあるなど、エロ面は薄い。 本作にはアニメーションを使用したシーンが8箇所あり、その内4つがHシーンに割り当てられている。アニメ自体の質はそれほど悪くは無いが、余り変化も無い。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、テキストスピード調節、オートモード、過去ログ(音声履歴有り)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット128)。画面効果の調整や音声発声時のフェード設定、ディスクレス起動も可。直前の選択肢にも戻れる。一方で、シーン回想はアニメーションのみとなり、Hシーンそのものの収録は無い。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディングは5種類。女性1人に付き1つの「HAPPY
END」が用意されており、その他に誰とも結ばれずに終わる「BAD
END」もある。エンディングはスタッフロール後にエピローグが始まるものと、エンド途中に後日談が挿入されるものの2パターンがある。 物語全体としては前・後半の2部構成だが、後半部分も共通ルートと個別ルートに分かれるので実質は3分割されている。「HAPPY END」を迎えるためには最終の個別ルートに入る必要があるが、いずれの選択肢が各女性に対応しているかの見極めは相当難しい。また特定の日しか発生しないイベントや、エンドロール後1分以上経過してから始まるエピローグなどは、いささか凝り過ぎた嫌いがある演出。 古代中国風な世界を主舞台としているが、特に厳密な時代考証が行われているわけではなく、あくまで雰囲気を醸し出す上での設定に過ぎない。「腐人・腐獣」を使役する者との戦いという大きな流れを背景に、弟子ら5名との恋愛模様がコミカルに描かれている。 本作は2000年10月にリリースされた『恋ごころ』の廉価版。そのためストーリー等の基本部分に一切変更は無し。ただしメディアはDVD-ROMへと切り替わり、システム周りも発売当時最新のものに乗せ変えられたが、シーン回想を実装しなかった点は惜しまれる。 |
◆ 総評 ◆ |
【名指導者】 自分一人の力でカバー出来る限界を知った主人公は、初めて弟子をとる事に。一度に4人の入門者を迎えたが、それぞれの個性や特性を上手に伸ばしつつ、同時にメンタル面も鍛えて行く。また、単に術を教えるだけではなく、術の有する負の側面も明らかにして、それを身に付ける事への戒めを厳しく説く。そして時には弟子達と同じ視点に立って指導する一方で、彼らの窮地には迷う事なく己の命を投げ出す。 初めての弟子をとった人物とは思えないほど見事なコーチングで、加えて自らの精進も忘れないという、真の強さと優しさを兼ね備えた主人公。 【忘れない━、いつまでも━】 メインヒロイン5人との様々な「恋心」を描いた本作。弟子達は各々が何かしらの悩みや苦しみを抱えている。それを克服するための修行の過程を通して、「身分」や「生死」「年月」等を超えた恋が紡がれて行く。中でもトゥルールートである「ルゥ」との恋は、「時空」をも超えて行く。 幸せな国の成立を目指し、叶わなかった2人。長い時を経て、2人の信じていた「幸せの国」での再会を果たす。ちなみにそのエンディング「幸せの国1」では、前作『ねがい』の数年前の舞台にリンクしている。前作の主人公と、転生した本作の主人公が友人という設定。
個別ルートに分岐するまでが非常に長く、日常シーンでは大したイベントもないまま、のんびりと修行するだけの日々が続くため、中盤辺りが間延びしている印象。また画にも結構クセがあるため、その点でも人を選ぶ作品。 |
初稿:2011.08.02 |
恋ごころ Standard
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