::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
主人公「黒崎崇」は桜野学園に通う3年生。ある日、親友から片思いの女性の名を告げられ、仲を取り持つことになる。しかしその片思いの相手とは、主人公が以前から恋心を抱いていた女性だった。 ゲーム内の期間は、4月の第1週から始まり、3月の第3週までの丸一年間。一週間ごとにストーリーが進行する。移動場所は、第2章から街全域のデートスポットが対象となる。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は3人。内訳はメインヒロインの女子高生、サブヒロインとしてモデルとお嬢様が各1名ずつとなる。 Hシーンは全て和姦。回数はメインヒロインが12種類で、各種類ごとのH度に応じて2〜3段階のバリエーションが用意されている。サブヒロインの2人は各11回ずつ。さらに3人それぞれの初めてのHシーンが、別カウントで登録される。 各シーンはアニメーション対応で、「フェラ」「パイズリ」「縄縛」など、純愛系としては全体的に濃い目の仕上がり。メインヒロインとのHシーンは、若干ながら調教SLGの要素もあり、複雑なマスクデータによって出現が管理されているため、自力でのフルコンプはかなり困難となっている。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、過去ログ(音声履歴有り)、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能。セーブスロットは全50箇所のサムネイル付で、オートセーブにも対応。テキストは瞬間表示に固定されている。画面効果の調整やBGMのフェード、ディスクレス起動も可。シーン回想はサムネイル付で、各種エンディングも登録される。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディングは7種類。週末ごとの通常イベントと、修学旅行や夏祭りといった強制イベントを季節ごとに挿入することによって、長い一年間が構成されている。通常イベントでは8種類のミニゲームが用意されており、このミニゲームを完全クリアしないとフルコンプが不可能になる仕組み。 物語の主軸はヒロインとのストーリーで、主人公が高校最後の1年間を振り返るというスタンス。メインヒロインと付き合うまでの過程を描いた第1章が、やや長めのストーリー導入部の役割を果たし、第2章以降はひたすら恋人とのデートを繰り返して行く。 親友の想いを知りつつ、それを裏で踏みにじり続ける主人公。そして全ての事実を知ったその親友との修羅場が本作のクライマックスとなる。 本作は2003年10月にリリースされた『LOVERS』の再販版。メディアはDVD-ROMに変更され、Vista対応となったが、基本ストーリーやシステム周りに変更は無し。本作用の特典として、イラストや壁紙等のデータが収録されている。 |
◆ 総評 ◆ |
【元祖ヘタレ】 物語の中で、球技大会や駆け落ち、受験勉強など主人公には様々な試練が与えられる。しかし主人公はそれらの経験を経ても、最後まで成長する事が出来なかった。結局スタート時からエンディングまで、自身は何も変わらないままストーリーは幕を閉じてしまう。 主人公の友人達が辛い経験を経て、それなりに成長を果たしていった事とは余りに対照的。主人公は、ただ恋人とのSEXに興じて、何の成果も無く一年を終えてしまっただけという印象しか残らない。 【不完全リメイク】 第2章以降のメインヒロインとのHシーンに入った時、突如ヒロインが別人へと入れ替わる。よくありがちな「シーンごとに原画家が異なるため、キャラデザに違和感」などというレベルではなく、完全に別人。一体何故こんな事になってしまったのか。 本作は「Jellyfish」の前身である「海月製作所」が、1998年4月17日に発売した『LOVE ESCALATOR』のリメイク。リメイクに伴ってヒロインのキャラデザインも一新されたのだが、アニメーション部分(Hシーン)に関しては旧作をそのまま流用するという暴挙に出る。そのため通常シーンとHシーンでヒロインが別人になるという快現象が起きてしまった。 キャラデザインを一新するのであれば、Hシーンも当然一から書き起こすべき。逆に旧作のHシーンを流用したいのであれば、キャラデザインを変えるべきでは無い。フットサルの演出に特殊な技巧を凝らす前に、もっとやるべき事はあった。 【伝説の延期】 再販版である本作の当初の発売日は2003年10月10日だったが、そこへ至るまでには様々な紆余曲折があった。最初は2001年秋のリリースを目指していると発表された本作。その後、2002年4月26日に発売日が決定されたが、そこから驚異の延期劇が幕を開ける。それは延期回数のべ11回、総期間は1年5ヵ月にも及ぶこととなった。 この延期の嵐によって、余りにも発売を引っ張り過ぎたことが、結果としてこの作品への正当な評価を阻害する遠因となっている。メーカーは杜撰な進捗管理によって、自らの首を絞めることになってしまった。
詰まる所、精神的に何ら成長を見せない主人公と、お口のガードが弱いヒロインのお話。それでも第1章で主人公が臨死体験を経て、今を生きる喜びとその大切さを知り、ヒロインに想いを打ち明けるまでの過程は心を打つものがある。 |
初稿:2010.09.01 |
LOVERS 〜恋
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