::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
私立高校2年生の主人公「片瀬健二」は、父と妹との3人暮らし。父親は出張で家を空ける事が多く、家事は一つ年下の妹が一手に引き受けている。春休みを目前に控えた冬の終わりに、父親の出張期間延長の連絡が入った。 ゲーム内の期間は1月29日から始まり、最長で2月17日まで。2月11日から冬休みに入る。移動場所は自宅〜学園がメインとなり、時に公園や商店街に立ち寄る事もある。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は5人で、内訳は上級生1、同級生2(幼馴染1)、下級生2(妹1)。メインヒロインは妹と幼馴染のツートップ体制。純愛系らしく全て和姦のみで、Hシーンにおいてハードなシチュエーションは全く無い。 基本はストーリー終盤に1回きりのご褒美H。中には未遂で終わるため、本編中にHシーンの存在しない女性もいる。 各ヒロインのエンディングに到達すると、当該ヒロインとの後日談が追加されていく。「Afterえちぃ Story」と名付けるだけあって、ただHするだけのショートストーリー。女性もやや積極的になっており、本編中のエロの薄さをここでカバーしている。とは言え、ここでもHシーンは1回のみ。 |
◆ システム ◆ |
BGMのON・OFF、オートモード、テキストスピード調節(瞬間表示不可)、過去ログ(音声履歴無し)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット20)。シーン回想はHシーンの他に、一般シーンやエンディングも閲覧出来る。スキップは既読・未読判別不可。ディスクレス起動も出来ない。 かなり悪質な欠陥があるので、インストール時から必ず修正ファイル使用すること。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディング数は女性の数と同じ5種類。各ヒロインのエンドを迎えると、「After
Story」が出現する。内容は前述の「Afterえちぃ
Story」5本と、パロディネタ満載の「OMAKE
Story」が5本。 プロローグでの選択により、本編におけるヒロインのルートが確定する仕組み。各ルートによって、女性の性格やポジションが変わる事もある。 物語は、何か大事件が起こるわけでもなく、起伏の無い単調な毎日の繰り返しで、非常に淡々と進行していく。ヒロイン達とのごく普通な日常生活を描いた本作だが、ライターの異なる「日和」ルートはファンタジー色が濃くなっている。その「日和」とのエンディングを迎えると、タイトルと同じショートストーリー「みずいろ」が追加される。 そんな中で、他のルートには絡まず、プロローグでのエピソードも用意されていない「先輩」の印象が、陽炎のように薄くなっている事は残念。 |
◆ 総評 ◆ |
【AVG野心作】 大半のAVG、特に恋愛物は本編が始まると「共通ルート→個別ルート→エンディング」という一連の流れを辿る。この場合、いずれのヒロインを狙うにしても、個別ルートへ入るために毎回共通ルートでのフラグ立てが必要になる。必然的に共通ルートにおいて、同じ文章を何度も読み返す事に。それ故、AVGではスキップ機能が目覚しい発達を遂げてきた。 しかし本作は、本編に入る前のプロローグの段階で個別ルートを確定させる事によって、「本編=個別ルート」とした。それはつまり、本編における「共通ルート」の消滅を意味する。そのため本編に関しては既読スキップが不要となった。 2周目以降の共通ルートが、単なる作業プレイになってしまう従来の手法を覆した面白い試み。 【出荷制限?】 残念ながら本作は既に生産中止となっているが、一応2002年6月にはDVD版として再販されている。しかしそれも通販限定の上、一ヶ月で受付を打ち切るという、およそ販促など考えていない商法。 不人気ならまだしも、未だに本作への需要があるにも係わらず、メーカーはあくまでも今後再販をしない方針を打ち出している。これは前作『銀色』(完全版を含む)から続く規定のライン。 だがこのレア商法が祟り、次作『朱』の初回限定版が大量に売れ残る遠因となった。 【ゲスト出演】 メインヒロイン2人は『銀色-完全版-』(2001年8月31日発売)において、本編クリア後のショートストーリー(2本)に登場。また、2人の他に「進藤」も根強い人気を誇り、これらのキャラは『ねこねこファンディスク』(2002年1月25日発売)で、再びスポットを当てられている。 更にその人気は衰える事を知らず、やはり『みずいろ』とは全く関連の無い次作『朱 -Aka-』(2003年6月13日発売)にまで波及。『銀色-完全版-』同様、クリア後のボーナスシナリオに登場する事となった。 内容は、メインとなるヒロインが妹2、妹&日和1、進藤1の、計4本となるショートストーリー。中にはHシーンのあるシナリオもあり、ユーザーの強いニーズが窺える。
シナリオ全体がまったりムードに覆われており、テンポも悪く実に退屈。それでもストーリーが佳境へ近付くと、時に女性視点へと切り替わるのは、切ない女心を描き出し、ヒロインのキャラに深みを与える良い演出。 |
初稿:2005.01.21 |
みずいろ |