::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 舞台 ◆ |
目が覚めると、これまでの自分に関する記憶を一切失っていた主人公。そして「ツヴァイ」という新しい名前を与えられ、外界とは隔離された場所で、訳も分からぬまま暗殺術を叩き込まれる事になった。 ゲーム内の期間は不明。進行ルートによっては7年ほど経過する事も。移動場所は、当初は廃工場の敷地内のみとなる。 |
◆ ターゲット ◆ |
攻略可能な女性は4人。内訳はクール、金髪、お姉系、清楚が1名ずつ。Hシーンは全て和姦で、回数は金髪とお姉系が各2回、クールと清楚が各1回となっている。 お姉系は他の3名に比べればエロさを出しているものの、全員シチュエーションはごくノーマルでエロ面は弱い。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、オートモード、テキストスピード調節、過去ログ、スキップ(既読・未読判別可)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット60)。テキストはマウスホイール対応で、画面効果等の調整も出来る。シーン回想はサムネイル付。ディスクレス起動は不可で、毎回メディアチェックが行われる。 システム設定画面は弾丸を撃ち込んで行う独自の形式。弾切れの際は「RELOAD」で再充填。また「GUN LIBRARY」では登場キャラによる説明があるなど、銃器に拘った構成。 |
◆ シナリオ ◆ |
マルチエンド形式のAVGで、エンディング数は12種類。スタッフロールの流れるものから、デッドエンドを含む各種バッドエンドまで用意されている。主要なエンディングに到達すると、コンプを知らせるオリジナルCGが現れる。会話シーンにおける相手のセリフは吹き出し風。 明確な章立てはされていないが、ストーリーは大きく分けて3部構成となっている。物語途中で武器選択の場面が幾つかあるが、好みの問題でしかなく、どれを選んでもストーリーに影響はない。特定の条件を満たさないと出現しない「隠し銃器」もある。 ある日突然記憶を奪われ、暗殺者として生きる事を強要された主人公。そんな主人公に暗殺技術を教練したのは「ファントム」と呼ばれる組織最高の暗殺者だが、ストーリー展開によっては自らが「ファントム」を襲名したり、あるいはその「ファントム」から命を狙われる場合もある。 |
◆ 総評 ◆ |
【Back to Back】 第2部まではいわゆるギャングスターの世界、血生臭い抗争が繰り広げられる裏社会の物語となるが、第3部に入るやガラリと様相が変わる。 かつてヒットマンとして数々の人間を葬ってきた者と、平和な学生生活を送ってきた者達が同じクラスメイトとして登校し、その他に温かい家庭で育った少女とスラムで生き延びた少女が対峙したりもする。余りにも違い過ぎる生い立ちや価値観を持つ者が、一つ所に同居するという異様な世界観のストーリー。 本作の持つ雰囲気からは明らかに浮いている印象の第3部。それはプレイヤーの感覚が、1〜2部の裏社会を舞台とした陰惨な殺戮劇で麻痺しているためでもある。一般社会へ舞台を変える事により、主人公の身を置いていた場所が如何に異質な世界であったかを浮き彫りにするための演出としては効果的だった。 【ファントムの系譜】 2000年2月に原点となる『Phantom -PHANTOM OF INFERNO-』がリリースされた「ファントム」(2002年7月には「廉価版」、2003年7月には「メディ倫対応版」発売)。2002年2月には「デジターボ」から「DVD-PG版」が発売され、シナリオの追加やフルボイス化が行われたが、Hシーンはカットされて全年齢対象となった。さらに2003年5月には「Princess Soft」から「PS2版」としてコンシューマに移植されている。 そして2004年に、これまで各版で追加されて来た部分をそのまま組み込み、システム周りも大幅に改良し、移植時に削除したHシーンも復活させた本作が発売された。サブタイトルも新たに「INTEGRATION」と改題して「完全版」である事を強調したが、なぜか音声はカットされてしまい、点睛を欠く結果となった。
極限の状況を次々に体験する事で、短期間の内に無口なキラーマシーンへと変貌するが、それでもどこか人間臭い部分を捨て切れない主人公。一方で、人間らしさを全く感じさせない機械人形の様なメインヒロイン。この2人の対比がストーリーの主軸となり、殺人技術からは得られない本当の強さについて描かれて行く。 |
初稿:2006.04.10 |
Phantom INTEGRATION
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