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月箱

幼い頃の事故の後遺症から、モノの壊れやすい線―――「死の線」を見る能力を持った主人公、遠野志貴。
事故から八年の間預けられていた親類の家を離れ、志貴は実家へと戻る事となる。
そこで彼を待っていたのは、すでに他人のような妹と二人の使用人だった。
古びた洋館での慣れない暮らしに戸惑いながら、志貴と少女達の新しい生活が始まる。
時を同じくして多発する猟奇殺人事件。その被害者は一様に全身の血液を抜かれていた。
ある出来事がきっかけとなり、志貴は「吸血鬼」達の壮絶な戦いに巻き込まれていく事となる―――

純白の吸血鬼は微笑む。
「私を殺した責任、とってもらうからね」

公式サイトより

ストーリー エロ 感動 システム キャラ ボリューム 総計 主人公
Baa Ca Baa Ca Baa A 74 Aa
 
メーカー
発売日
定価
シナリオ
原画
備考
:TYPE-MOON
:2003.04.29(Tues.)
:\2,500-
:奈須きのこ
:武内崇
:−
 
ジャンル
音声
名前変更
修正ファイル
属性
季節
:AVG
:×
:×
:○
:謎,学園,伝奇
:晩秋
 
OS
CPU
メモリ
CD-ROM
解像度
HDD
:Windows98/Me/2000/XP
:Pentium400MHz以上
:98/Me 128MB以上 2000/XP 256MB以上
:2倍速以上
:640×480,FullColor以上
:150MB以上
 
◆ 舞台 ◆
 高校2年生の主人公「遠野志貴」は、事情から親戚の家に厄介になっていた。しかし突如本家からの呼び出しが掛かり、8年振りに実家へ戻る事を決意する。その一方で、街全体が正体不明の連続猟奇殺人事件に震撼していた。

 ゲーム内の期間は、10月21日から最長で11月2日までの13日間。移動場所は自宅〜学園がメインとなるが、ルートによって街や公園なども重要な場所になる。
 
◆ ターゲット ◆
 攻略可能な女性は5人。内訳は金髪1、上級生1、義妹1、メイド(双子)2。Hシーンはほぼ和姦で占められており、回数は女性一人につき2〜3回。特殊なシチュエーションも無く、ごくノーマル。
 
◆ システム ◆
 BGMのON・OFF、テキストスピード調節、過去ログを搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット20)。スキップは既読・未読判別可能だが、タイトル画面で設定しなくてはならない。既読の場合に次の選択肢まで一気にスキップ出来る。ディスクレス起動も可能だが、BGMはカットされる。シーン回想は無し。
 
◆ シナリオ ◆
 商品名は『月箱』だが、メインとなる作品は『月姫』。マルチエンドでビジュアルノベル形式の伝奇AVG。エンディングは9種類あり、「琥珀」を除いて1人につき2種類用意されている。その琥珀唯一のルートは、他のエンディングを見た後にしか入れない。この作品のラストを締めくくる、悲しく切ないストーリーとなっている。

 幼い頃に「死線」を見る力が発現し、以来特殊な眼鏡を着用することでかろうじて日常の生活を営む主人公。その力によって、日常生活から次第に非日常の世界へと引きずり込まれてゆく描写は秀逸。
 迫り来る狂気の中で、自分を見失うことなく立ち向かっていく様が、圧倒的なボリュームで綴られて行く。
 
◆ 総評 ◆
【同時収録】
 今作には『月姫PLUS+DISC』と『歌月十夜』が同梱されている。共に『月姫』のファンディスク。『月姫PLUS+DISC』にはショートストーリーを2本収録。ただしエロは無い。
 もう一方の『歌月十夜』は1本の長編と12(+1)本のショートストーリー、更に読者投稿による3本のストーリーを収録し、かなりのボリュームで読み応え十分。『月姫』内では明らかにされなかった伏線をここで回収するなど、本編の内容を補足する重要なストーリーも含まれている。こちらはエロもあるが、難易度も高い。

 以上の様に、特に『歌月十夜』については、これぞファンディスクの本来あるべき姿として、低品質なファンディスクを連発する他のメーカーにも見習って欲しい所。

【されど入手困難】
 同人ソフトだけに、価格は2500円と低く抑えられている。システム関連が弱く、また音声が無くても、コストパフォーマンスを考えれば非常にお値打ちな作品。
 ところが残念な事に、既に販売は終了している。そのため安価が大きな魅力である筈だったのだが、今では逆にプレミアが付いて高騰中。その意味でも、早くメジャータイトルからリメイクを出して、市場を健全な状態に戻した上で、より多くの人にプレイする機会が与えられる事を切に願う。

 

 とにかく『月姫』だけでも膨大な量のテキストで、ファンディスク2作まで含めれば、完全クリアまでに尋常ではないプレイ時間を要求される。しかし息をもつかせない展開によってプレイヤーを引き込み、一気に読ませるだけの力も持っている。
 この作品を作り上げる為に「TYPE-MOON」を立ち上げたと言われるほど、製作スタッフの魂が込められた会心の一作。
 

初稿:2004.10.05

月箱(つきばこ)

 

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