::: エロゲーの殿堂 ::: |
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◆ 舞台 ◆ |
生死の境を彷徨うほどの重傷を負った主人公は、辺境の村人達によって手厚く介抱される。暫くして外傷は回復したものの、記憶を失ってしまった。そんな主人公に村長は「ハクオロ」の名を与え、村に逗留する事を許した。 ゲーム内の期間は不明。移動場所は、当初は村内各所となるが、勢力を拡大するにつれて変化していく。 |
◆ ターゲット ◆ |
登場女性は多いが、攻略可能となると6人に絞られる。全員獣人であり、種族によって特徴(耳、尻尾、羽など)は異なるものの、体毛で覆われているわけでもなく、見た目はほとんど人間と変わらない。 Hシーンは全て和姦で、奇抜なシチュエーションも無く、至極ノーマル。基本は1人に付き1回だが、2回用意されていたり、2ラウンド目に突入する場合もある。とは言え、ストーリー全体のボリュームに比べれば物足りない印象。また、最初のHシーンに到達するまでに、かなりの時間を要する。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、過去ログ、テキストスピード調節を搭載。AVGパートでは随時セーブ・ロードが可能(スロット100)だが、SRPGパートはスタート時のみセーブ可。スキップはCtrl強制で、既読・未読判別は無い。「高難度」でクリアすると2周目からはAVGパートをスキップ出来るようになる。 用語辞典が搭載されており、戦闘後に用語が追加されていく仕組み。ストーリーの進行に応じて、収録用語も変化していく。 デフォルメされてはいるものの、チップキャラの動きは実に多彩で完成度は高い。戦闘時以外でも度々導入され、ストーリーに躍動感を与えるという点で大きな役割を果たしている。 |
◆ シナリオ ◆ |
AVGとSRPGの融合型で、ベースはAVGとなり、要所要所でSRPGパートが挿入される形式。ストーリーは一本道で、途中での分岐は無い。 戦争がメインとなるだけに、物語も必然的に重くなる。しかし日常シーンでは牧歌的なムードが漂い、ほのぼのとした雰囲気を醸し出している。この辺りは実にバランス良く構成されているが、多くの謎が明らかになる終盤に向けて徐々にシリアスになって行く。 主人公達が村を出るまでが長いプロローグとなっており、OPが流れた後に本編が始まる。村内の事件から始まった物語は、次に藩内の騒乱に。やがて国内の反乱へと発展し、最終的には国家間の戦争となる典型的な国盗り物語。敵として戦った者が、戦後に仲間となる場合もある。 ただし、主人公は領土欲や征服欲に燃える野心家ではなく、戦いは全て必要に迫られてのもの。したがって、全国統一が本作の目的ではない。 |
◆ 総評 ◆ |
【The Mask
of Iceman】 主人公を除き、登場人物は獣人で構成される社会。飛鳥時代のような暮らしぶりで、固有名詞はアイヌ語に似た響き。ではパラレルワールドを舞台としたファンタジーなのかと思いきや、そうではないと感じさせる描写が随所に散りばめられている。 全体MAPを見れば、地名こそ異なるもののそこは本州の中心部であり、日本が舞台となっている事が分かる。また、記憶喪失である主人公は、植物の生育に必要な土壌の成分や鉄の精製方法を「化学的」に知っていた。何より主人公は当初、獣人達の耳や尻尾に違和感を覚えており、それは彼が今まで人間社会で暮らしていた事を示唆している。 「自分の当たり前だと思っていた世界が実は…」といった、SF的な仕掛けが好きなプレイヤー向けのストーリー。 【人間社会の縮図】 獣人社会をミクロの視点で見ると、農村では村人達が互いに支え合い、家族同様に暮らしを営んでいる。しかしマクロの視点で見ると、支配する側とされる側に分かれ、宗教や種族、家柄・血統などによって差別し、互いに軽蔑し合っている。結果として戦いに明け暮れ、盛栄と衰亡を繰り返す。その光景は、まるで人間社会を鏡に映したようだ。 なぜ人間ではない彼らが、人間と同じ愚行を重ねるのか。それは知性を手に入れた種の辿る末路とも考えられるが、その辺りの理由も終盤になって明らかにされる。 【シミュレーションRPG】 本作で導入されたSRPGパートはゲーム性が高いものの、「標準難度」でプレイすれば、SRPGに不慣れなプレイヤーでもさほど問題なくクリア出来るはず。逆にSRPGパートに手応えを求めるプレイヤーには、「高難度・壱,弐,参」と3段階の難易度が用意されており、標準難度にはないクリア後の「称号」といったやり込み要素もある。 人物ユニットを動かして戦うファイアーエムブレム型のSRPGだが、武器や防具等のアイテムは無く、制限ターンも無い。戦闘中にHPがゼロになっても死亡とはならず、退却と判定されるのでその点も気は楽。そのため、戦後に仲間となる敵ユニットを倒しても全く問題無し。 本家のSRPGとは異なり、初心者にもかなり取っ付き易い仕様となっている。
ストーリーが進むにつれて、主人公の周りには好意を寄せる女性達がゾロゾロと集まって来る。絶対権力を志向する者にとっては、まさに夢のハーレム状態。しかし主人公の性格からか、「ランス」とは違って常時女性に手を出し放題とはならない。折角の花園を目の前にしながら実に勿体無い話。 |
初稿:2005.04.19 |
うたわれるもの DVD-ROM |