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この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO

この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO

あなたの並列世界の探索が、今はじまるのだ!

マップを見ながら、様々な分岐世界を探索する・・・
新たなマルチシステム「A.D.M.S」は、複雑にからみあった世界を、目に見えるマップとして作成していきます。
ストーリーの根幹には「並列世界」と呼ばれる概念が存在します。
あなたの判断力と行動が様々な分岐世界を進んでいくきっかけとなるのです。
「A.D.M.S」が仕掛ける数々の謎を、あなたは解くことができるでしょうか?

公式サイトより

ストーリー エロ 感動 システム キャラ ボリューム 総計 主人公
Aa C Aaa D A Aa 81 Ba
 
メーカー
発売日
定価
シナリオ
原画
備考
:elf
:2000.12.22(Fri.)
:\8,800-
:菅野ひろゆき
:長岡康史
:生産限定品
 
ジャンル
音声
名前変更
修正ファイル
属性
季節
:AVG
:×
:○
:−
:謎,家族,学園,伝奇
:盛夏
 
OS
CPU
メモリ
CD-ROM
解像度
HDD
:Windows95/98/2000/Me
:Pentium166MHz以上
:32MB以上(推奨48MB以上)
:8倍速以上
:640×480,256色以上
:200MB以上
 
◆ 舞台 ◆
 主人公「有馬たくや」は境町学園の3年生。歴史学者の父親を落石事故で失ってから2ヵ月が経過して、ようやく平穏な日々を取り戻しつつあった。そんな折、死んだはずの父親を差出人とする小包が届く。

 ゲーム内の期間は約4日間。移動場所は自宅を中心として、学園や海岸、セントラル街などの境町一帯となる。
 
◆ ターゲット ◆
 攻略可能な女性は9人。内訳は義母1、女子高生2、お姉系2、金髪外国人3、ボーイッシュ1となっており、保険医は手コキどまり。
 Hシーンは全て和姦で、唯一の陵辱シーンは未遂で終わる。回数は女性1人に付き1回ずつ。基本的にはノーマルで、マニアックなシチュエーションも無く、フィニッシュ前にテキスト描写が終わってしまう場合もある。
 
◆ システム ◆
【リメイクにあらず】
 テキストスピード調節を搭載し、選択肢表示画面を除いてセーブ・ロード可能。セーブスロットは3箇所あるが、常時使用するのは1スロットのみ。達成率やトータルプレイ時間も表示される。一方で、スキップはCtrl強制であり、既読・未読判別は不可。各種音量調節や過去ログ、シーン回想も無く、ディスクレス起動も出来ない。

 本作は1996年12月にPC98版として発売されたものをWindowsにベタ移植しただけであり、塗りも16色のまま。ただし移植時の倫理規定に合わせて、近親相姦のシーンは伏字に修正されている。そのため該当シーンでは結構目障りなテキスト表示になってしまう事から、有志によって作成された非公式の修正パッチの使用を推奨。

【A.D.M.S】
 「Auto Diverge Mapping System」の略で、本作最大のセールスポイント。オートマッピングにより、通過したルートを視覚的に表現し、分岐点が近付くと点滅表示する。「A.D.M.S」の一環である「宝玉セーブ」は慣れれば非常に使い勝手が良く、攻略の上でも強い味方となる。また、ルートによっては危機回避の手段として用いるケースもあるなど、ストーリーにも無理なく組み込まれた完成度の高いシステム。
 しかし肝心の宝玉が少ない事と、うっかり宝玉の設置を忘れたり、失敗したりすると面倒な事態になるのが難点。
 
◆ シナリオ ◆
【並列世界紀行】
 マルチエンド形式のAVGで、エンディングは4種類。基本はメインの女性1人に付き1つのエンドとなるが、中には「HAPPY END」の無い女性もいる。また、主人公やヒロインが死亡する等の「BAD END」も相当数用意されている。
 ストーリーは「プロローグ」「現代編」「異世界編」の3つに分けられ、プロローグはコマンド選択の総当り方式だが、現代編は画面クリック方式に変わる。そして異世界編では再びコマンド選択式となる。
 メインは現代編となり、設定上は実質3日間の話だが、そのボリュームは膨大。各女性ごとに対応したルートが大きく分けて5つあり、効率良く回れば各ルートは1〜2周で済むが、段取りが悪いと何周も回る事になる。また、特定のヒロインとの個別エンドに到達したい場合は、トゥルーエンドを迎えて後、もう一度同じルートを辿らなければならない。
 アイテム関連などの謎解きは非常に難解。オープニングにも重要なヒントが隠されている。

 各ルートのストーリーは全く異なるというわけではなく、基本的にはどのルートでも同じ出来事が起きている。異なるのは主人公の居場所で、各ルートによってどの出来事に絡むかが変わるという仕組み。ただし主人公は並列世界を行き来するに当たり、明確な記憶を引き継ぐ事は出来ず、せいぜいデジャヴの様に感じる程度。プレイヤーだけが並列世界で起こる出来事を把握するという形。

【外伝】
 エンディングに到達すると、元はスペシャルディスクに収録されていた「それゆけ、セーレス!」のプレイが出来るようになる。本編の「プロローグ」「異世界編」と同様のコマンド選択式。
 本編における、主人公が異世界に飛ばされたばかりの頃のショートストーリー。精神的に不安定だった時期の主人公とそれを支えたセーレスの、2人の絆が出来上がるまでの過程を描いている。本編には無かったセーレスとのHシーンも収録。
 ちなみに「セガサターン版」では、このショートストーリーはゲーム本編に組み込まれている。
 
◆ 総評 ◆
【Underdog Story】
 幼い頃から武道を嗜み、また高校生ながら精神的な強さも併せ持つ主人公。しかしストーリー上ではそれらの素養は何の役にも立たたない。
 義母を守れず、友人を守れず、両親の忘れ形見を守れず、さらには妻や恩人も守れず、挙げ句には可愛がっていたペットすら守れなかった。「必ず君を守る」と多くの人達に宣誓しながらも約束を果たせず、負け犬街道を驀進してしまう。
 同じ失敗を何度も繰り返し、己の愚かさと無力さを噛み締めて行く主人公。それでも最後の最後で、最愛の愛娘だけはかろうじて守り切った。それは大切な人達が次々と目前で死んでゆく場面ばかりに立ち会った主人公が、悲しみを乗り越えてようやく掴み取った成長の証。

【されど未完】
 8ヵ月という比較的長めの制作期間を経て誕生し、AVGとしては異例のボリュームを誇る本作。しかし当初の構想では「異世界編」こそが本編となり、「現代編」は壮大なプロローグとなる予定だった。ところがスケジュールの調整が合わず、結局現代編が本編のような位置付けとなり、異世界編は長大なエピローグとなってしまった。この点はライターも心残りだったようで、巷では好評を博した本作だが、自身では酷評している。
 ソフ倫の性描写に関する規制緩和を受けて、異世界編の補完を含めた完全版としての本作のリメイクを望む声は今も根強い。とは言え、ライターがメーカーを去って久しい現在となってはそれも期待薄。

【OVA】
 1998年10月にピンクパイナップルより『YU-NO 第一幕』がリリースされる。その後99年10月までに『第二幕第三幕第四幕』が発売され、計4作で完結している。2000年4月にはDVD化され、『D-1D-2』の2枚に各2話ずつ収録されている。
 ストーリーはベースこそ一応原作をなぞってはいるが、内容はもはや別物。背景設定やキャラ設定は各所で異なっており、現代編のキャラが異世界編にも多数登場する点が特徴。全体的にとっ散らかった展開で、特に原作未プレイ者には恐らく理解不可能。
 一方で、原作同様Hシーンは少ないものの、お色気シーンはしっかり用意されている。ただし作画レベルは並以下。

 

 AVG従来の手法であるマルチエンド・マルチルートを逆手にとった設定で、物語中に力及ばず苦汁を飲んだシーンの直前へ戻ってもう一度やり直す瞬間こそが、本作の大きなポイントとなっている。
 ストーリーは所々で矛盾を孕んでいるが、大掛かりな謎を仕掛けたシナリオは一級品。しかし本作の収録された『エルフ大人の缶詰』は生産限定品であり、現在での入手はやや困難。
 

初稿:2006.05.25

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