::: エロゲーの殿堂 ::: |
◆ 背景 ◆ |
1995年11月22日にシーズウェアから『EVE
〜burst error〜』(PC98版)が発売される。1997年1月24日にはイマジニアからSS版(設定資料集同梱の限定版)が発売。移植に伴って原画からの書き直しや音声が付いてCD-ROM4枚組の大容量となった。しかし18歳以上推奨となり、際どいシーンはカット。同年3月7日には通常版がリリースされている。 同年5月30日にWin版としてPC市場へ帰って来たが、R指定(15禁)どまりでHシーンの復活は無し。 2003年7月24日、プラットフォームを再びコンシューマ(PS2)に移し、『EVE burst error PLUS』としてリメイク。基本ストーリーはほぼそのままに、原画は新たに書き起こされ、システム等も洗練された。 そして同年11月28日、再度PC市場に戻り、待望のHシーン追加等さらにリメイク。タイトルもシンプルに『EVE』のみとなった。 |
◆ 舞台 ◆ |
諜報機関「内閣情報調査室」に所属する主人公「法条まりな」。急遽日本に召還され、新たに与えられた任務は「エルディア国駐日大使」の娘の護衛だった。 とある港町で探偵事務所を構える一方の主人公「天城小次郎」。暇を持て余している所へ、馴染みの女性が依頼を持ちかけてくる。その案件に胡散臭さを感じながらも、高額報酬を前にして引き受けてはみたが・・・。 ゲーム内の期間は、まりな編が12月2日〜9日までの8日間。小次郎編は12月3日〜9日までの7日間となる。移動場所は港町全域。 |
◆ ターゲット ◆ |
小次郎編における攻略可能な女性は4人。相手は全員オトナの女性。まりな編は本人を含めても2人(1人は女子高生とのソフトレズ)。Hシーンはそれぞれ一回のみと淡白。 まりな自身がカラむHシーンでは同社の『DESIRE』と異なり、まりな役の音声は無いまま。逆に相手役の男の艶声だけが流れるという、よく分からない演出。 ストーリーの長大さに比べれば、エロはかなり薄い。ちなみに小次郎とまりなのカラミはない。 |
◆ システム ◆ |
各種音量調節、テキストスピード調節(3段階)、過去ログ(音声履歴無し)を搭載し、随時セーブ・ロードも可能(スロット10)。ディスクレス起動も可。スキップはCtrl強制で、既読・未読判別は無し。シーン回想は無く、CG閲覧のみ。 ウリであるマルチサイトシステムは、切り替えるタイミングでサインが出るなど、使い易さも完成の域に達している。 |
◆ シナリオ ◆ |
一本道のAVG。小次郎とまりなの2人の主人公が用意されていて、どちらから始めても問題はない。2人の視点からストーリーが進行し、それぞれの抱える事件を追っていく事になる。 しかし当初は無関係と思われる両者の行動が、実は密接に連動しているので、ほぼ同時進行させる必要がある。また人間関係や背後関係などが、中盤以降かなり複雑になるので、その意味でも余り片方の主人公に偏りすぎない方が良い。 最終的に2人の主人公の別々の物語が、1つに集約されていくストーリー展開は圧巻。 |
◆ リメイク ◆ |
ストーリーはほぼ原作(PC98版)を忠実に再現。ただし、エンディング前の犯人当ては削除され、推理ゲームとしての側面はやや薄れた。また、一部のHシーンもカットされている。 原画は今回で3度目の書き直し。中にはほとんど別人の様になった人物もいるが、基本的にPC98版の雰囲気を踏襲しつつ、今風のクセのない画に仕上がっている。 18禁リメイクと言うことで、声優もコンシューマ版と多数入れ替えられた。残念ながらその中にはレベルの低い声優もいる。必ずしも有名声優を起用する必要は無いが、ある程度のスキルは欲しい所。 |
◆ 総評 ◆ |
【真・マルチサイトシステム】 『DESIRE』で導入されたマルチサイト・システムがさらに昇華され、より完成度が高く仕上がっている。ストーリー自体は一本道で、時代を感じさせる総当りのコマンド選択方式。しかし両者のストーリーが巧みに絡み合い、それに伴うサイトチェンジの演出は絶妙で、一本道ながらゲームをしているという感覚と緊張感が味わえる。 名場面として名高いハッキングシーンは、まさにマルチサイトの真骨頂で、一見の価値あり。 【菅野氏は銀英伝がお好き?】 本作には、ストーリー中の各所に「銀河英雄伝説」のセリフがちりばめられている。「血が流れても体が軽くならない」「高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処」など、銀英伝ファンは思わずニヤリとさせられるセリフ。また「まりな」が査問にかけられるシーンも、ヤンの査問会を意識した構成。 さらに、本作より先行してリリースされた『XENON 〜夢幻の肢体〜』においても、「わが征くは星の大海」などのフレーズが引用されていた。菅野氏はかなりの銀英伝フリークと見て間違いない模様。 【同時収録】 本作には『EVE 〜burst error〜』と『悦楽の学園』の2本も同梱されている。前者はPC98版のベタ移植(音声無し)、後者はWin版のベタ移植(音声有り)で、現在の水準からするといかにも貧弱なCGやシステム周り。 しかし『悦楽の学園』は若干ながら『EVE』とも関連があり、事前にプレイしておけば、本作をより深く楽しむことが出来る。また『EVE 〜burst error〜』の収録は、『EVE』のリメイク具合に納得がいかないオリジナル崇拝者にとっても嬉しい配慮。
DOS時代の終盤を飾った名作であり、原作者菅野氏(当時は剣乃ゆきひろ)の名声を決定的した。そして何度もリメイクされていることから、ユーザーの支持の高さが窺える。 |
初稿:2003.12.12 |
EVE |
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